私には親が入院をしている幼馴染みがいる。幼馴染みなため、入院をしている親のことは私は良く知っている、遊びに行くとオヤツを出してくれる優しいオジサン。
看病疲れを労りに幼馴染みの家を尋ねると、見知らぬ車が停まっていた。
私、「お客さんが来ている?」
幼馴染み、「塗装屋さん」
私、「家を塗装するの?」
幼馴染み、「うん、塗り替えるの」
私、「親の入院で大変な時に、塗り替えなくても良いだろ」
幼馴染み、「親が入院をしているから、家の塗り替えが出来るんだよ」
幼馴染みが住んでいるのは、親が建てた家。
私、「オジサンは知っているの?家を塗り替えすること」
幼馴染み、「知るわけないじゃん、入院をしているのだから」
私、「勝手に塗り替えをして、オジサンに怒られない?」
幼馴染み、「塗り替える前なら勝手なことをするなと怒るだろうが、塗ってしまったら怒るに怒れないだろう」
家の中に入ると、玄関・浴室・トイレ、オジサンの部屋はリフォームされていた。
私、「いつリフォームしたの?」
幼馴染み、「つい最近」
私、「リフォームしたことはオジサンは知っているの?」
幼馴染み、「知るわけないじゃん、入院をしているのだから」
私、「勝手にリフォームをして、オジサンに怒られない?」
幼馴染み、「怒るだろうな」
それから1ヶ月後、幼馴染みの父親は一時退院して、自宅に帰って来た。
オジサンが最初に目にしたのは塗り替えられた自宅、予想していた通り、オジサンは息子(幼馴染み)に対し「お前、勝手に塗り替えやがったな」。
家に入ると玄関はリフォームされており、体が不自由になったオジサンでも難無く家に上がることが出来た。
浴室やトイレ等も勝手にリフォームされていたが、体が不自由になったオジサンが難無く暮らせるためのリフォームと知ったオジサンは、嬉し涙を流していた。
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