私にとって外壁塗装は一大決心

子供から家の外壁塗装を勧められた。
私自身、家の外壁がくすんでいることに気付いていたのだが、塗装をする気に中々なれなかった、なぜなら、前回の外壁塗装は夫との思い出が残っているから。
外壁を塗装してしまったら、夫の思い出が失われるようで怖い。そんな私を天国にいる夫は笑っているだろう、夫も愛した子供達のために外壁塗装をしなくては。
私にとって恐らく最後の外壁塗装になるだろう、夫と私が住んだ家はいずれ子供に譲るつもり。

塗装をしてくれる業者さんは前回と同じ、「なに色で外壁を塗りますか?」と聞かれ、私は迷うことなく「前回と同じ茶色で」、すると孫が「私、白色が良い」。
業者さん、「どうしますか?」
生前の夫は外壁と同じ茶色の塗料を選んだ、この家は夫が建てたのだから天国に居ても夫の意志を尊重したい、それが私の思い。
業者さんに「前回と同じ茶色で」と言おうと思ったのだが、「白色でも良いじゃないか」と夫の遺影が私に言っている気がした、「良いじゃないか」は夫が生きている時の口癖。
夫にとって孫は目に入れても痛くない存在、それは私も同じ。
夫と私が住んだ家は、いずれ子供に譲るつもり、そうなれば、いずれ孫のものになる。
どうしよう、茶色で外壁を塗装をするべきか、それとも夫も可愛がった孫の勧める白色で塗るべきか?一晩寝て考えよう。
夢に夫は現れなかった、私を起こしてくれたのは可愛い孫、これが私達夫婦の答えだ。
白色で外壁を塗装してもらうと、築年数は古くても夫と私の家は明るくなった、すると孫が「おうちは爺ちゃんの車と同じ色になったね」。
ガレージには夫が乗っていた車が処分されず置いてある、いずれ家を子供に譲ったら夫の車は邪魔になるだろう。
家が明るくなったことで心が少し晴れた私は、夫が乗っていた車を手放した、すると、スペースが出来たガレージで孫が遊ぶようになった。きっと天国にいる夫は喜んでくれているだろう。

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